脱毛について

アドバイザー山家英子先生
Best Nurse 1999年5月号の掲載記事より

《体毛の周期》

  1. 成長期 ― 毛母細胞が活発に分裂し毛が成長する時期。
  2. 退行期 ― 成長し終えた毛が抜け落ちるまでの期間。
  3. 休止期 ― 抜け落ちた毛を作っていた毛の生産工場が次の成長期まで休んでいる期間。

《体毛の種類》

毛は大きく分けて性毛、無性毛の二種類に分けられます。

性 毛→ 第二次性徴にともなって生えてくる毛。生えてくる方向がばらばらでワキ毛や陰毛がそれに当たります(男性はヒゲや胸毛も含まれます)。
無性毛→ 上肢や下肢の毛。生えている方向が一定なので脱毛しやすい。
・軟毛
髄のない毛皮質と毛小皮だけからなる。細く、短い色素に乏しい毛。
・硬毛
髄のある、太くて長い、色素に富んだ毛。

《ムダ毛と脱毛できる部位》

ムダ毛とは、そこに存在することにおいて、他人あるいは自分が不快感を感じてしまう毛と認識すれば良いでしょう。方法さえ選べば、体のすべての部位の脱毛が可能です。

《脱毛の種類とそのメカニズム》

〈皮膚表面より上の毛幹のみの処理〉
1、カミソリ→剃る。
時間のない時に便利。女性用に持ち手の角度や刃の幅などが工夫されており、顔用、ワキ用、ウデ用、脚用など色々と発売されている。毛の流れに沿って剃るようにすれば皮膚へのダメージも少ない。
2、除毛フォーム・クリーム→毛を溶かす。
皮膚表面より上に出ている毛を化学的に溶かすので、カミソリのように毛の断面が太くならず、伸びてきた毛がチクチクすることがない。ただし、皮膚の弱い人はカブレを起こすこともあるので、小範囲にパッチテストをしてから使用するのが望ましい。塗ってから5〜10分同じ姿勢を保たねばならないのが不便。
〈毛根までも処理可能〉
1、毛抜き→1本1本抜き取る。
時間と手間がかかるが、毛根まで処理できるので3〜4週間毛が生えてこず、長持ちする。使用部位に合わせた毛抜きも発売されている。指で皮膚を広げて毛の流れに沿って一気に抜くと痛みが軽減される。
2、脱毛ワックス→広い面積内の毛を一気に抜き取る。
毛の流れとは逆の方向に一気にはがしたほうが痛くない。毛抜きと同様、毛根まで処理できるので、長持ちする。さらに広範囲を一度に脱毛できるので、処理時間が短くてすむ。
〈毛根およびその周囲組織にもダメージを与えるもの〉
1、電気脱毛→針を毛穴に入れ1本1本毛根を抜いていく。
いわゆる(一時的ではない脱毛)永久脱毛の種類の一つ。毛を1本1本処理するので時間がかかる。
☆絶縁針を用いた電気凝固法
 主に医療機関で行われる。医療レーザーが登場するまでは永久脱毛する可能性を持った唯一の方法だった。技術の差が効果に大きな差をもたらす。かなりの痛みを伴うので、必要に応じて局所麻酔で対応。
☆ブレンド法
 主にエステで行われる。技術が良ければ長い期間をかけて永久脱毛になる可能性もある。電気凝固法と同様にかなりの痛みを伴うが、エステでは麻酔は使用できないので、忍耐あるのみ。

2、医療レーザー脱毛
 レーザー照射→照射面内の毛根とその周囲にダメージを与える。
2〜3年前にアメリカで実用化されたレーザーによる脱毛法は、一時的ではない脱毛法(永久と断言するにはもう少し時間が必要だが、その可能性は大)に革命をもたらした。1平方センチメートル程度の照射皮膚面内の毛を1秒で処理が可能のため、その処理時間がこれまでより大幅に短縮された。
電気脱毛が点の処理なのに対し、こちらは面の処理。施術法はそれほど難しくないので、現在、急速に普及しつつある。さらに痛みも格段に少なくなり、また、施術前に毛を伸ばしておく必要もなくなったため、脱毛人口が増えているようです。
しかし、黒い色に吸収されるレーザー光を利用し黒い毛を焼くという原理のため、日焼けしたあとや、もともと皮膚が黒い人、また乳輪部、外陰部など特に色の黒い箇所はやけどの危険性があり注意が必要。また、同じレーザー脱毛の機械でもその効果が怪しいものもあるので、信頼のおける医療機関を見つけましょう。

【医療レーザー脱毛用の機械】

LPIR(アレキサンドライト・レーザー)
効果は良く、火傷しにくいメリットも。面積の広い脱毛に大きな効果を示す。
(※写真をクリックすると、大きい写真が見られます。)
Light Sheer Diode Laser System
冷却装置が付いているため、痛みが少ない。パルス幅が変えられるので、軟毛にも効果がある。狭い面積向き。

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